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新着情報

2018.07.24

定年と言う考え方

最近、飲み会などで60歳前後のビジネスマンの方々とご一緒する機会が多くなりまして、そうなると必然的に定年退職に関する話題が多くなります。これが50代前半くらいだと、親の介護や自分の健康に関する話題が先行するせいか、定年に関する話が出てくることは必ずしも多くないのですが、60歳になるあたりで会社との関係が変わる事例が増えてくるということなのかなと思いますが、その中にもいくつか異なるパターンが見受けられます。

一つ目が役職定年と言われるもので、ラインの役職(部課長あるいはマネージャーなど)を退き、代わりにそれなりの肩書(審議役、理事、アドバイザーその他)をもらうというものです。役職についていた手当がなくなるので、手取りも減額される例が多いようです。それでも会社員として現役であることに変わりはないので、オフィスに机があって、定時出勤や分掌業務があることもそれ以前と大きな変わりはない場合が多いようです。この場合は本格的な定年まで残りの年数をそのまま勤務することになるので、言わば定年準備期間へ移行したことになるのでしょう。また最近はあまり聞きませんが、待遇に変化が少ない分、定年延長もこれに近いと言えます。

二つ目が出向・転籍で子会社へ移る(いわゆる天下り)パターンで、移動先の役員あるいは経営者として引き続き、あるいはそれまで以上に活躍する事例も少なからずあります。

三つ目が定年退職後に嘱託あるいは短期雇用契約で再雇用される場合です。手取りはぐっと減額され、社会保障のグレードや位置づけもだいぶ変わってくるようです。働き方も、出張がなくなるケースや社内での異動を伴う事例もあるようです。

よく、「定年が近くなると借金がしづらくなる」という話を聞きますが、経営者として子会社へ移動した後で業績を好転させるような場合を除き、ほとんどの場合に現役時代と比べて給与が下がることを考えれば仕方ないところなのかもしれません。他方で年金の支給開始年齢は上昇する傾向にあることもあって、定年したからと言ってすぐに仕事を引退するという例は、まずもって目にしなくなりました。そうなると、引退までの時間をどのように過ごすのか、モチベーションをどう保ち、何を目標に働けば良いのか、なかなか難しい面も出てくるのではないでしょうか。

同じ職場に留まる場合においては、当然のことながらノウハウや経験を若手に引き継ぐという「役割」を期待される場合が多いと思うのですが、それが当たり前とされているせいなのか、引継ぎに関するインセンティブや支援措置が講じられているという話はあまり聞きません。それでも、40数年に渡って蓄積された人脈やノウハウは会社にとってかけがえのない知的資産です。それをどのように継承するのか、さらにそれをどうやって活用するのか、これも一つの経営課題です。

あなたの会社では、ベテランの経験やノウハウをきちんと継承できていますか?ベテランたちが自ら進んで若手への引継ぎを行うような環境づくりはできていますか?

2018.07.17

日本社会が持つ絶対的な強みとは

海外で仕事をしていて日本に帰って来ると、社会の仕組みに独特の落ち着きと言うか、居心地の良さを感じて、なんだかほっとさせられることがあります。それが何によるものなのかを体系的に解き明かした研究は必ずしも多くないと思うのですが、元証券アナリストで日本に関する著作も多いデービッド・アトキンソン氏は、それは日本人が「場を慮る」力に長けているからではないか、という所見をお持ちです。日本社会の特徴として「場=空気=居心地」を大事だとする考え方が支配的であるという点は、確かにご指摘のとおりだと思うのですが、でもそれが日本社会の持つ「強み」の本質なのかというと、どうもそれは違うように思えます。

松下やソニー、トヨタやホンダなど、企業社会におけるかつての成功事例に共通して見られるのは、社内で交わされた徹底的な議論ではなかったかと言うことを想起すれば、おのずとその違いは明らかでしょう。「ワイガヤ」、あるいは「やってみなはれ」で象徴的に語られている新規事業への積極的・徹底的な取り組み姿勢が往時を物語ります。誰でもやる気のあるものが参加でき、さまざまな意見が反映される形で事業が進められて行きました。他方でアトキンソン氏の指摘するような、空気を大事にする文化も尊重されたため、それがどんなに激しいものであっても、事業を巡る社内の議論がその後の対立を助長するようなこともなかった、と言う意味においては強みを構成する一要素ではあったのだろうと思います。それでも「空気を読む」あるいは「面倒くさいことを避ける」という行動様式は、成長に向かう強烈なエネルギーを少しでも効率的に活用するための、言ってみれば従の知恵であって、決してそれが主となるものではなかったはずです。

その後、時代は流れて超高齢化社会を迎え、成長へと向かう強烈なエネルギーを失った日本社会における文化的特性が「空気を読む」あるいは「面倒くさいことを避ける」という形でしか残っていないのだとすればそれはとても残念なことだと思います。他方で、効率性を貴ぶ行動様式が保存されている社会だとすれば、そこに「ワイガヤ」を復活させることができれば、スムースに新たな強みを生み出すことも十分可能なのではないでしょうか。

あなたの会社では、胸襟を開いたオープンな議論がなされていますか?そしてあなたは経営者として、そのような議論の重要性を社内に伝えていますか?

2018.07.10

働き方改革と、労働対価と成果の話

今国会で成立した「働き方改革関連法」は、2019年4月から順次施行されることになりました。世の中には様々な議論があると思いますが、経営者の立場から言えば、成果に対する労働対価の選択肢が増えることは歓迎すべき変化です。他方で残業規制などが厳しくなる部分もあり、労働時間の面では今までより自由度が低下する部分も出てくると思われます。

でも、ちょっと待ってください。労働対価をしっかり検討すれば、得るべき成果は必ず得られると、本当に言えるのでしょうか?社長の立場で考えると、兼業禁止規定のある社員に対して会社が支払う給与(+賞与)は、その社員にとって全ての金銭収入です。つまり会社がその社員の生活すべてを面倒見ている、と言える状況なのですが、そうだとしたら会社はその社員が会社に対して、追加的な労働なしに、合理的な勤務時間の中で提供しうる最善の成果を要求できる立場にいるはずではないでしょうか。

現実的には、一方で昇進・昇格など様々なインセンティブを用意しつつ、人事考課で成果の度合いを評価した結果に基づき給与や賞与が決定されている場合が多いと思います。つまり制度的に「成果は最善であってほしいが、そうでない場合は評価によって労働対価に反映するよ」という「仕組み」を採用しているわけです。そうすると、社員の側からも「給料分だけ働けば良いや」という反応が返ってくることになります。

サービス残業などが難しくなる流れの中で、決められた労働時間や業務指示書に基づいて最善の成果を求めるためには、管理面の仕組みだけでなく、成果そのものを自動的に産出するような仕組みが必要なのです。具体的には経営理念や経営目標が経営戦略まで一貫性ある形で社員と共有されていること、目標管理の仕組みが出来ていて、それに従った成果が定期的に報告されるようになっていること、スタッフ部門が仕組み全体の動きに継続的な目配りをしており、不具合は順次修正されるようになっていることなどが挙げられます。大企業では皆当たり前の話です。

ところが多くの中小企業ではこの仕組みが機能していないため、どうしても管理面中心の、いわば形だけの働き方改革に終わりかねないという例が多くなりがちです。せっかく世の中が働き方改革に注目しているわけですから、この機を逃さず最善の成果を求めるための仕組みを導入されては如何でしょうか?

世の中の流れについて行くことは当然として、世の中の流れを自らの変革に活用することこそ、有能な経営者が持つべき視点なのです。あなたは働き方改革を自らのビジネスに生かす形で活用できていますか?