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2019.07.11

お客様の声に耳を傾ける

マーケティングを勉強していると、よく「お客様の声」がどれだけ重要かという教えに出会います。経営の神様と言われた一倉定氏は「社長がいるべき場所は社長室ではない、それはお客様のところである」と言っています。

 お客様の声を聞こうとするなら、それはお客様のところに出向くのが正しい方法であることに疑問の余地はありません。業種業態によって異なりますが、通常お客様は一人・一社・一か所だけということはなく、毎日訪問し続けても間に合わないくらい数が多かったりする場合もごく普通にあるわけです。それを補うのが会社組織であり、営業部や営業マンたちであるわけです。

 そうだとするならば、お客様の声に耳を傾けるためのチャネルとして、営業部をはじめとする会社組織内部の人間に焦点を当てることがどれだけ重要かということも自明であろうと思われます。

 ところが、少なくない事例において経営者は自らの営業力や顧客対応能力に大きな自信を持っていて、たとえお客様の声を聞くためであろうと、社員が持つ情報を活用するということに頭が向かない、というパターンを目にします。中小企業でも個人事業から発達した、いわゆるカリスマ経営者に良く見られます。「営業マンの報告だけで市場がわかれば苦労はない」と固く信じているタイプです。

 営業マンにとって重要な「どこのクライアントに何をいくら売った。」という実績の情報があったとします。定例の営業報告会で最初に報告されるのはこういった情報です。片道30分かけて営業に行き、客先で商談して帰ってくるまで約2時間半という仕事だとして、その道筋に飛び込み営業の出来る会社が10社あれば、社長としてはそちらがより重要な情報に見える場合もあるわけですが、実績の情報とは直接関係ないため、営業報告の中に10社の話は出てこないでしょう。それが見えない以上、営業マンの報告は単に報告に過ぎない、と切り捨てる経営者がいるのも無理からぬことです。

 Future SWOTは、10年後の未来を予測するために社員が持つ情報を活用しよう、という手法ですが、この説明に忌避感を持つ経営者は多かれ少なかれ似たような感覚を持っているようです。ここが「アイディア・マイニング」を説明するうえで一番難しい部分なのですが、「報告されずに眠っている有用な情報」を掘り起こしてでも活用する、というのがその設計思想なので、情報の質としては定常的な報告で上がってくるものとは全く違う、という点をぜひご理解頂きたいと思います。

「ソウイエバ、あの道筋には飛び込めそうな会社があったなあ。」「その会社のバナーなら、俺も違うところで見たぞ。」普段報告できずに眠っている情報が、絞り出すように上がってくるプロセスこそが「アイディア・マイニング」なのです。

会社の10年後を予測する、という枕詞は参加する社員の気持ちを楽にさせます。リラックスした状態で心の中を覗くことで、普段は忘れているような情報でも外に出て来やすくなります。それをまとめて可視化することで、最終的に「お客様の声に耳を傾ける」取り組みも強化されるのです。