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2019.05.07

人間はなぜ未来を語るとモチベーションが上がるのか

 Future SWOTは、10年先という未来のことを考えるゲームです。これまでに実施したワークショップの成果の中で、どの事例でも参加者の表情が確実に明るくなるという変化が観察されました。それはどうしてなのでしょうか?

 Future SWOTだけでなく、人間は未来を語ることでモチベーションが上がる生き物らしいです。いささか古い記事ですが、2018年2月13日の日経新聞・経済教室に掲載された記事には、将来世代のことを考えたディスカッションに参加した人の感想として、「『現在世代の自己と将来世代の自己を俯瞰し、調停する思考ができた』と言い、そのように思考することに喜びを感じると答えた」との記述があります。
https://www.canon-igs.org/column/180220_kobayashi.pdf

 現在そして未来につながる時間のことを自分事として意識できると、そこには高次の自己意識が芽生える、みたいなことなのかもしれません。でも、Future SWOTが評価されているのはそこまでの長い時間軸によるものではありません。

せいぜい10年後の話に過ぎないのですが、一つ確実に言えることは、いずれも自分事についての議論だという前提で話をしてもらっている、ということです。Future SWOTが求めているのは「10年後の自分が置かれた立場を可視化する」という取り組みに他ならないのです。

若手・中堅社員については、10年後の自分たちが目指している方向性について同僚たちと考えをすり合わせることができたこと。参加者の表情を明るくしたのは間違いなくそういう部分だったのではないかと思います。

では、シニアな参加者についてはどうだったのでしょうか。ここから先は私見になりますが、私は以下のような考え方を持っております。

これは一つの仮説に過ぎませんが、日本を含む世界各国で止まらない少子高齢化について、現代の生産世代は、資源多消費型の現代経済が将来世代の資源までを食いつぶしている≒将来世代は私たちより厳しい環境下に置かれる、という認識を広く共通して抱いているのではないか、と直感的に感じているところがあります。

これは何も少子高齢化に止まらず、会社経営についても同じような側面があり、やれコンプライアンスだの働き方改革だのと、昔に比べてだんだん世知辛い環境になってきていて、ごく普通に自由裁量の利いたかつての雰囲気はもうなくなってきている、というイメージとも相通じるところがあると感じています。

そんな日々を送っている方々からすると、10年先にどう会社をつないで行くかというテーマで議論に参加できることは、罪滅ぼしとまでは言わないまでも、今自分がやっていることの正しさを確認するためのプロセスとしてプラスに働いた、ということなのかなと思っています。日経の記事でも、将来のことを俯瞰できることに「喜びを感じた」との記述がありますが、Future SWOTがもたらす効果も同じではないかと思うのです。

そう考えると、もしも私たちが将来世代のことまで勘定に入れた資源配分を実現できたとしたなら、少子高齢化は根本的に解決出来たりするのかもしれないとさえ思えてきます。Future SWOTを手掛けていると、そんな方向にも考えが向いてくるのはたぶん何かの余禄でしょうね。

理由はどうあれ、Future SWOTワークショップを実施して自社の未来を考える機会があると、確実に参加者の顔は晴れ晴れとします。私は、それだけでもカードゲームを実施する意味があるのではないかと思うのですが。