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コラム

2019.04.25

発想と年齢の当たり前すぎる関係とは

 Future SWOTは、いわゆる発想法の一種に分類されると思うのですが、使っているとゲーム参加者の属性が成果に強い影響を及ぼすことを改めて感じることがあります。大まかに言って、若い人ほど柔軟な発想と長期を見据えた力強いアイディアが出て来やすく、ベテランほど広い視野と長い経験に裏打ちされた妥当性の高い案が出てくるように思われます。ある意味で当たり前すぎるこの違いは、どんな影響をもたらすのでしょうか?

 人は誰でもそうですが、年齢を経るにしたがって「残り時間」が短くなってゆきます。たとえば現在30代の人ならば、自らが活躍できる時代として今から25年先が十分視野に入っていることと思いますが、60代の人にとって25年先は自分がまだ生きているかどうかという時代になります。おそらく仕事はかなりの確率で引退しているでしょうし、そうなると「会社の未来」について思い浮かぶ要素も限られてきます。

 年齢による発想力の変化や発想の質的違いは、異なる要素を混ぜることで相互に刺激し合う効果が期待できます。もっと言うと、男性と女性では年齢による変化の度合いが違ってくるのも興味深い点です。男性が比較的経営レベルに近い発想をしがちなのに比べて、女性は比較的実務レベルに近いところでコメントする例が多いように感じられます。これにはむろん例外もありますし、年齢や性別による違いよりも性格タイプによる違いの方が大きいのですが、ゲームの参加者を選抜するうえでは気に留めておく価値のあることではないかと思います。

 同質の発想は、一つ一つのアイディアを相互補完する効果があり、相乗効果的にアイディアが補強されることにつながるのですが、異質の発想はお互いがお互いの下意識に眠らせている「ソウイエバ記憶」を引き出すための刺激になります。そうすると、今まで見えてこなかったものが浮かび上がるなどの効果が期待できるため、異質な参加者を組み合わせたセッションでは時折予想もしなかった掘り出し物が出てくることがあるのです。

 これこそが「アイディア・マイニング」の効用なのですが、お互いの発言を尊重し、見えにくいアイディアを引き出すなど、そこに至るまでのゲームコントロールにおいてファシリテータの役割が一層重要になります。

 始めやすいのは同質的なセッションですので、ある程度似たような年齢と経験の参加者でスタートしてみて、具合が分かってきたところで異質な参加者によるゲームを実施されるのが良いでしょう。最終的にはFuture SWOTをさまざまな参加者を加えて実施し、なるべく広い視点から会社の未来を描けるようにしてみてください。

2019.04.16

理系と文系の違い

コンサルタントとしてFuture SWOTのような技法を取り扱っていると、この手法(特にカードゲームの部分)が文系的な発想で出来上がったものであることを感じさせられることが少なくありません。それはなぜでしょうか?

その理由は、Future SWOTの構造が論理的ではあるが科学的とは言えず、その有効性は帰納的に証明されても体系的分析には耐えず、何よりも「なくてもやれるがあった方が良い」という位置づけが極めて中途半端というか、どういう場合にはあるべきで、どういう場合にはなくても良いというスペックが客観的に示されていない(というか、示しようもない)からです。

まず「論理的ではあるが科学的ではない」という点について説明すると、Future SWOTでは、10年後の自社の姿について連想を促すキーワードについて、参加者が心に浮かんだことを発言する、というプロセスを繰り返すわけですが、キーワードについて聞かれた「ので」自分が考えたことを発言する、という一連の行動は、聞かれたという原因に対して発言という結果が一対一で対応しており、極めて論理的な流れになっています。

ところが、その原因と結果を結び付ける部分は個人の発想というブラックボックスになっていて、個人が下意識に持っている「ソウイエバ記憶」が呼び起こされる、という説明は一見それらしいかもしれませんが科学的に証明されたものではないのです。

つぎに「有効性が帰納的に証明されていても体系的に分析できない」については、カードゲームをやってみると、確かにきらりと光る発想が一つや二つは出てくるのです。その範囲で確かに有効性は確認されていると言えます(でもそれはカードゲーム無しのブレーンストーミングでも出てきたかもしれません)。

さらにカードゲームそのものが「面白いか」「アイディアが出せそうか」という視点からランダムに選ばれたキーワードの集合体にすぎず、全体として何らの体系化もされていないため、なぜアイディアが出てくるのか?という分析に耐えるだけの論拠を示せずにいるのです。この点は商品としてちょっとした弱みだと思いますが、効果があるので良しとする方々には一定のご支持を頂いているので、それにすがって販売させていただいている、というのがいつわらざる状況です。

理系の発想ではないこのカードですが、面白いことに興味を持ってくれる方には理系出身者も少なくありません。でも考えてみれば人類には、なぜ効くかはわからなくても効く薬は使うという長い時代を過ごし、薬によって救われた少なくない命を繋ぐことで歴史を築いてきたという過去があります。

Future SWOTカードゲームの有効性や、アイディアマイニングのメカニズムについては、いつの日か理系の方々に分析していただき、その有効性を科学的に確認してもらえたらと思っています。

2019.04.09

代替わりしたならば

会社でも教育機関でもそうですが、組織の長が代替わりしたとするならば、引継ぎの挨拶回りなどでしばらくは忙しい日々を送ることになり、勢い内部の仕事はしばしお預けになったりするものです。でも、内部にとってトップの交代というのは、それまでできなかった改革を進める上で実は大きなチャンスなのです。

長年の人間関係やさまざまな歴史的要因が障害になり、内部の組織が「変わりたくても変われない」という状態に陥ることはどの世界でもあることです。それを一気に変えるチャンスが実はトップの交代です。それを成功させるために、組織とそこで働く人たちは何ができるのでしょうか?また、新しいトップは何を心がけるべきなのでしょうか?

コンサルタントとして日々クライアントさんに接する中で感じるのは、組織で働く人たちが実に様々なことを観察しており、実に豊かな情報を持っているということ、それなのにそのうちごく限られた情報しかトップとは共有できていないという事実です。

組織で働く実に多くの人たちが、「ウチの会社もこうなれば良いのに」といった、漠然としたイメージを持っています。残念ながら多くの場合は「なるために何をどう変えれば良いのか」、「本当になれるのか」、「なれなかったときに何をどうすべきなのか」等の点まで突き詰めた成案ではないのですが・・。

でもその中には、潜在的に光る提案が眠っていることも多々あるのです。それを引き出し、磨き上げ、組織がより強く変化して行けるように方向付けるのがトップの役割なのです。

・・と、ここまではよく耳にする組織論と何ら変わりはありません。今日私が申し上げたいのは、トップが内部で働く人たちから絶対に聞き取るべきもう一つの情報が「何を変えてはいけないか」であることなのです。

それは組織の本質だったり、経営理念のコアだったり、設立時の創業精神だったりすると思いますが、それ以外にも「確かにこれは重要だ」「何があっても後世に伝えるべきだ」という部分ができているかもしれません。余人を持って代えがたい名人の技術かもしれませんし、長い伝統を受け継ぐ人のつながりかもしれません。

トップとしては新しくとも、それまで組織の中で培った皮膚感があるのなら、そういった「変えるべきではないところ」についても併せて聞き取ることで、自然と肚に落ちる方向性が見えてくるものなのです。そのうえで、自分のコトバで考え方をはっきりと示すこと。新しいトップが内部に向けてまず最初に行うべきは、このプロセスを置いて他にないのです。

年度も変わり、あちこちで新しいトップが仕事を始めている時期です。船出が順調に進むことを願ってやみません。