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コラム

2018.07.31

ナンバー2と言う位置について

企業でも役所でも、およそ組織である限り、代表者もしくは責任者は、多くの場合一人が務めます。目的をもって組成された会議体や合併間もない政党などでは、共同議長あるいは共同代表などと言って同時に二人以上が務める場合もありますが、恒久的な措置とは言えないと思います。

トップが一人いればあとは皆同じくヒラの担当者、という組織もないことはありませんが、日本でも海外でも、トップの代理や補佐を務める人間を置くという例のほうが圧倒的に多いと思います。トップの右腕、あるいはナンバー2と呼ばれる人たちです。

この中には本当に優秀で、トップを支えるというよりはトップの仕事を一部肩代わりしているような人もいますが、むしろ最終決定権を持たずに、そのかわりトップの代理として一定の仕事を回すことを期待されている、という人のほうが多いのではないでしょうか。その意味ではナンバー2といっても決定権を持たないという意味でヒラと大きくは違わないのかもしれません。でも、ヒラと決定的に違うのは「トップの代理」として振る舞うことを期待されている部分です。

代理とはいえ、本来ならトップが務めるべき仕事をするわけですから、そこに求められるのは「トップならどう考え、どう振る舞うか」という洞察であり、トップと自身の考え方の差を埋めるための、トップとの密なコミュニケーションです。

ナンバー2に求められるのは、考え方の面では「トップのコピーである」と言えるくらいの深い理解に他なりません。トップが不在のときなどトップに代わって社内をまとめるくらいの働きが期待される立場にあると言えます。

そんなナンバー2の目から見た社内の状況は、トップにとって満足できるものなのか。コピーと言っても所詮は一人の違う人間ですから、社内の様子についてもトップが見ている景色とは微妙に違うものを見ているはずです。またナンバー2である以上、意思決定などさまざまなシーンでトップと同席する機会も多くなります。そうなればこそ、さまざまな事象や出来事について、トップとしてはナンバー2がどう考えているかを知ることが、社内の情報を拾い上げる第一歩になるのです。自分と考え方の段差は小さいかもしれないが、自分とは違う人間が、物事をどのように見て、考えて、対応しようとしているのか。社内の知恵を存分に活用するための手始めとして、ぜひナンバー2との意思疎通を今まで以上に大事にされてください。

あなたの会社は、ナンバー2人材を生かしていますか?

2018.07.24

定年と言う考え方

最近、飲み会などで60歳前後のビジネスマンの方々とご一緒する機会が多くなりまして、そうなると必然的に定年退職に関する話題が多くなります。これが50代前半くらいだと、親の介護や自分の健康に関する話題が先行するせいか、定年に関する話が出てくることは必ずしも多くないのですが、60歳になるあたりで会社との関係が変わる事例が増えてくるということなのかなと思いますが、その中にもいくつか異なるパターンが見受けられます。

一つ目が役職定年と言われるもので、ラインの役職(部課長あるいはマネージャーなど)を退き、代わりにそれなりの肩書(審議役、理事、アドバイザーその他)をもらうというものです。役職についていた手当がなくなるので、手取りも減額される例が多いようです。それでも会社員として現役であることに変わりはないので、オフィスに机があって、定時出勤や分掌業務があることもそれ以前と大きな変わりはない場合が多いようです。この場合は本格的な定年まで残りの年数をそのまま勤務することになるので、言わば定年準備期間へ移行したことになるのでしょう。また最近はあまり聞きませんが、待遇に変化が少ない分、定年延長もこれに近いと言えます。

二つ目が出向・転籍で子会社へ移る(いわゆる天下り)パターンで、移動先の役員あるいは経営者として引き続き、あるいはそれまで以上に活躍する事例も少なからずあります。

三つ目が定年退職後に嘱託あるいは短期雇用契約で再雇用される場合です。手取りはぐっと減額され、社会保障のグレードや位置づけもだいぶ変わってくるようです。働き方も、出張がなくなるケースや社内での異動を伴う事例もあるようです。

よく、「定年が近くなると借金がしづらくなる」という話を聞きますが、経営者として子会社へ移動した後で業績を好転させるような場合を除き、ほとんどの場合に現役時代と比べて給与が下がることを考えれば仕方ないところなのかもしれません。他方で年金の支給開始年齢は上昇する傾向にあることもあって、定年したからと言ってすぐに仕事を引退するという例は、まずもって目にしなくなりました。そうなると、引退までの時間をどのように過ごすのか、モチベーションをどう保ち、何を目標に働けば良いのか、なかなか難しい面も出てくるのではないでしょうか。

同じ職場に留まる場合においては、当然のことながらノウハウや経験を若手に引き継ぐという「役割」を期待される場合が多いと思うのですが、それが当たり前とされているせいなのか、引継ぎに関するインセンティブや支援措置が講じられているという話はあまり聞きません。それでも、40数年に渡って蓄積された人脈やノウハウは会社にとってかけがえのない知的資産です。それをどのように継承するのか、さらにそれをどうやって活用するのか、これも一つの経営課題です。

あなたの会社では、ベテランの経験やノウハウをきちんと継承できていますか?ベテランたちが自ら進んで若手への引継ぎを行うような環境づくりはできていますか?

2018.07.17

日本社会が持つ絶対的な強みとは

海外で仕事をしていて日本に帰って来ると、社会の仕組みに独特の落ち着きと言うか、居心地の良さを感じて、なんだかほっとさせられることがあります。それが何によるものなのかを体系的に解き明かした研究は必ずしも多くないと思うのですが、元証券アナリストで日本に関する著作も多いデービッド・アトキンソン氏は、それは日本人が「場を慮る」力に長けているからではないか、という所見をお持ちです。日本社会の特徴として「場=空気=居心地」を大事だとする考え方が支配的であるという点は、確かにご指摘のとおりだと思うのですが、でもそれが日本社会の持つ「強み」の本質なのかというと、どうもそれは違うように思えます。

松下やソニー、トヨタやホンダなど、企業社会におけるかつての成功事例に共通して見られるのは、社内で交わされた徹底的な議論ではなかったかと言うことを想起すれば、おのずとその違いは明らかでしょう。「ワイガヤ」、あるいは「やってみなはれ」で象徴的に語られている新規事業への積極的・徹底的な取り組み姿勢が往時を物語ります。誰でもやる気のあるものが参加でき、さまざまな意見が反映される形で事業が進められて行きました。他方でアトキンソン氏の指摘するような、空気を大事にする文化も尊重されたため、それがどんなに激しいものであっても、事業を巡る社内の議論がその後の対立を助長するようなこともなかった、と言う意味においては強みを構成する一要素ではあったのだろうと思います。それでも「空気を読む」あるいは「面倒くさいことを避ける」という行動様式は、成長に向かう強烈なエネルギーを少しでも効率的に活用するための、言ってみれば従の知恵であって、決してそれが主となるものではなかったはずです。

その後、時代は流れて超高齢化社会を迎え、成長へと向かう強烈なエネルギーを失った日本社会における文化的特性が「空気を読む」あるいは「面倒くさいことを避ける」という形でしか残っていないのだとすればそれはとても残念なことだと思います。他方で、効率性を貴ぶ行動様式が保存されている社会だとすれば、そこに「ワイガヤ」を復活させることができれば、スムースに新たな強みを生み出すことも十分可能なのではないでしょうか。

あなたの会社では、胸襟を開いたオープンな議論がなされていますか?そしてあなたは経営者として、そのような議論の重要性を社内に伝えていますか?