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コラム

2018.08.21

ベンチャービジネスがベンチャービジネスでなくなる時

インターネットの辞書によると、ベンチャービジネスとは「独創的な技術やサービス、経営システムを開発・導入し、未知の要因が多い新しい事業に果敢に取り組み、急成長している企業。リスクを恐れず、新領域に挑戦する若い企業が主であり、経営を拡大していこうとする成長意欲が高い。日本では特にネット・ベンチャービジネスが大きな注目を集めている。(後段略、知恵蔵、https://kotobank.jp/word/ベンチャービジネス-8697)」というものだそうです。

引用させていただいた部分は言葉の定義として普遍性のある説明になっていると思います。つまり①独創的に、②未知の事業で、③急成長している会社、ということだと思います。その意味で確かにインターネットを使った事例が多いという点は頷けますが、必ずしもそればかりだとは言えず、ネットを使わずにそれまで世の中になかったサービスを売り出した会社も十分ベンチャービジネスの範疇に入ると思います。始まったころのコミケや「終活ビジネス」なども、独創的な未知のビジネスと言う意味ではベンチャービジネスの端くれだったのではないでしょうか(急成長したかどうかは会社によると思いますが)。

さて、スタートアップから急成長期を経てそのまま成長が続くと、どんな企業でもそのスピードに鈍化の傾向が出て来ます。これは考えてみれば当たり前で、はじめは10人の会社が5人増やせば人数で見た成長率は50%ですが、100人になってしまえば同じ5人の増加はわずか5%にしかすぎないわけです。

そうなると、最初のうちは独創的なやり方で未知の事業を手掛けていたとしても、時間が経ったことで気が付いてみれば、いつの間にか大企業の仲間入りを果たそうとしている段階に到達していたりするのかもしれません。その頃には事業そのものについての経験値も増え、もはや未知の事業とは言えなくなっているかもしれませんし、類似のビジネスモデルによる競合他社が参入していれば独創的ともいえなくなります。

最近は頭文字を取ってFAGAともいわれるFacebook, Amazon, Google そしてAppleも皆、似たような道をたどって業界の覇者にまで上り詰めました。ライドシェアの「ウーバー」は、最初市場にデビューしたころは鮮烈なベンチャービジネスでしたが、今や市場によっては後発との競争に敗れ、必ずしも一強時代を築くまでには至らなかった事例だと思います。

ベンチャービジネスからはじめて、世界を制するまでに上り詰めるのか、それともどこか途上で留まるのか、その違いは何だろうかと考えると、「次のステージに上がるビジョンをどのように構築し、どのように共有できているか」ではないかとの発想が心をよぎります。

今でこそAppleはFAGAの一角を占め、更には一企業としての株式時価総額で世界最大の企業となりましたが、かつて創業者のスティーブ・ジョブスを追放した時は、パソコンの開発競争でマイクロソフトに敗れ、次のビジョンを社内で共有できない状態に陥っていました。その後、紆余曲折を経てジョブスが経営に復帰し、iPhoneに代表される新しい価値を市場に提供することを通じて再び成長軌道に乗ることができたわけです。

次のステージに上がるビジョンをいかに構築し、さらにはどのように社内で共有するのかと言う課題は、本来企業経営者にとっては普遍的なものだと思いますが、ベンチャービジネスのように力強い成長を続けてゆくことを志向するならば、間違いなく必須の経営課題だと言えるでしょう。

ビジョンの構築と社内での共有のために誰が何を担うのか、はっきりと決まっている企業は強いです。経営者としてあなたは、ビジョンの構築と社内での共有をしっかりと進めていますか?

2018.08.14

大企業はなぜ大企業なのか

コンサルタントをしていると、ごく稀に大企業からの問い合わせや質問を受けることがあります。ただ提供しているサービスを説明すると、なるほどと聞いていただけることはあっても、それ以上話が進むことはありません。別に私が営業の対象を中小企業のみに絞っているというわけではないのですが、コンサルティングの内容が尖っているせいなのか、多くの場合「うちでは不要です」と判断されているのだろうと思います。それはなぜでしょうか?

当社がコンサルティングを通じて提供しようとしているのは「社員の知恵を利益に変える」ための仕組みづくりです。それを使わずに済む、というのは以下のいずれかの場合に限られます。
ケース①:利益追求の大本は経営者のリーダーシップなので、そのような仕組みづくりには関心がない、または仕組みは不要だと思っている。
ケース②:すでに社内には社員からの提案を受け入れる仕組みが存在し、それが機能しているためコンサルティングの必要がない。

実は大企業だと圧倒的にケース②が多いのです。大企業の場合、事業所を複数所有していてそのうちのいくつかが遠隔地に立地するケースも少なくありません。経営と営業最前線の距離も遠く、そのため担当者からの情報吸い上げを意図的に進めないと、最新の顧客情報から隔絶されてしまう危険性をはらんでいる状態となります。これこそが大企業が大企業たる所以です。

中小企業の場合、経営と社員の距離は大企業に比べると近い例が多くなりますが、ではどのくらい近ければ良いのかという問に対しては、経験的に山勘で判断するしかなくなるのではないでしょうか。また、自社を家族的雰囲気が強みだと認識している中小企業経営者も珍しくないのですが、その考え方が昨今の「働き方改革」あるいは「業務効率化」によって、次第に排除されつつあることは憂慮すべき側面を持っています。それは、意図的にそのような仕組みを作って運用しない限り、たとえ中小企業と言えども社員から経営者への情報伝達は先細りになる懸念が強いということなのです。

顧客からの情報が円滑にトップへと届かなくなると、営業面でその企業は次第に勢いを失ってゆきます。そしてそれは社内各部門間の協調についても同じことが言えるのです。せっかくレスポンスが早い中小企業として存在しているのですから、その強みを積極的に生かせるように、顧客からの情報を前のめりになって取り込むような、そんな仕組みづくりを積極的に進めるべきなのです。

あなたの会社は、社員からの知恵が上手く経営に伝わる仕組みを持っていますか?

2018.08.06

能力づくりとは

コンサルタントをしていると、よく「能力作り」というコトバに出会うことがあります。英語ではキャパシティ・ビルディングとか、最近ではキャパシティ・デベロップメントという言い方をするようになりましたが、意味するところは組織体において、今までできていなかったことをできるようにする、あるいは新しく業務に加わった仕事に対応できるようにする、と言うくらいのもので、何らかの教育訓練プロセスを伴うことがほとんどだと思います。

民間企業ではさらに直接的で、たとえば語学研修を行ったらTOEICの点数が上がるなど、それなりの成果が出なくてはいけませんし、管理職研修は部下の管理ができるようになることとほぼ直結しています。

以前支配的だったのは、実務の中で上司の指導を受けながら行うオン・ザ・ジョブ・トレーニング(OJT)でした。昨今、中堅・若手人材の流動化が進む中では以前ほどOJT一本鎗という取り組みが目立たなくなってきているように見えます。即戦力となる中途人材には、説明すれば判るレベルの人が増えてきているからではないかと思われます。

業務をこなす能力については成果が計測される部分も多いため、能力づくりの手段がどのようなものであれ、結果は業務成果として現れるものなので、優れていれば人事面で評価をし、足りなければそれを補うという対応をとります。

昨今言われている「働き方改革」の流れの中では、単に業務をこなすだけでなく、社内のコミュニケーションをどのように担保するかという課題もまた露わになってきています。この部分については能力づくりを積極的に進めている企業と、必ずしもそうでない企業との間に大きなばらつきが見られるようです。

ICTソリューションを活用したり、(意外にも)社員旅行などを活用する事例がある反面、業務の忙しさが原因で対応が後手に回っている例も見聞きします。ただでさえ社員と上司、社員とトップが直接顔を合わせる機会が減少する流れがある中で、積極的な対応を取らずにいると、いつのまにか人心の離散を招いてしまった、ということにもなりかねません。

経営者たるもの、働き方改革に合わせて社内のコミュニケーションに関する能力づくりにまで目配りをする時代になってきたということなのです。
あなたの会社では、社内コミュニケーションを上手く進めるための工夫ができていますか?